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THE・対談 〜 株式会社ドットライン・垣本社長

今回は千葉市で在宅介護・看護を中心に50以上の事業所を展開する株式会社ドットラインの垣本社長に介護・福祉業界への参入に至った経緯と地域密着戦略にこだわる理由、そして介護・福祉事業にかける思いについてお話しいただきました。(※このインタビューは2021年3月に行われました)

目次

紆余曲折を経て、介護・福祉業界に参入するまで

田中 垣本社長の経歴を拝見していると、とても珍しい経歴をお持ちだなという印象を受けます。まずは起業しようと思ったきっかけについて伺ってよろしいですか?

 

垣本 私が高校生の頃、「介護・福祉業界はこれから一大産業になる」と言われて全国的にその流れが広がった時期があり、それと同時期に第3次ベンチャーブームが来て、ベンチャー三銃士と呼ばれる孫正義さん、南部靖之さん、澤田秀雄さんが台頭してきました。そういった創業者の方々が純粋にすごく格好良いなと思ったことがきっかけです。私にとってのスターはみんな起業家ですね。

 

田中 高校生の頃から既に将来設計をしていたんですね。

 

垣本 そうですね。そこでどんな分野で起業しようかと考えた時、団塊の世代が後期高齢者に達することで起きると予想される介護・福祉の『2025年問題』のことを知り、この課題を解決できたら、私が憧れる坂本龍馬のようになれるのではないかと考えました。子どもの頃から仮面ライダーのような、誰かが困っている時に駆けつけて手を差し伸べるヒーローに憧れていたんですよね。その後、坂本龍馬の存在を知って、日本に自分の理想像のようなヒーローが実在したことに感銘を受けました。それが私の原点ですね。

 

田中 それからどのような学生時代を歩んだのですか?

 

垣本 社会福祉学部のある福祉系大学に進学しました。大学時代はとにかく介護や福祉の現場を沢山見て回りました。そこで現状を目の当たりにした時、“経営”という概念が抜け落ちていて、コストや売上を意識した経営を行う企業が少ないことに気がつきました。卒業後、視野を広げるために会社勤めもしましたが、早く資金を貯めて起業したいと思い、高収入が見込めるボートレーサーを目指して受験し、一発で合格することが出来ました。しかし、ボートレーサーとして活躍するには長期スパンで取り組まなければならないことを知り、そこで合格経験を活かしてビジネスにしたら良いのではないかと考え、ボートレーサー試験の予備校をつくったんです。今では選手の約8割以上を輩出する学校に成長しました。

 

田中 かなり面白いプロフィールですね!そこからどのようにして介護・福祉業界への参入を図ったのでしょうか?

 

垣本 独占市場であったボートレーサー試験予備校は成功し、そこで得た資金を使って飲食店、建設業、美容系のインターネット通販など様々な事業を起業して軌道に乗せていったのですが、本来自分がやりたかったことから掛け離れていたせいもあって、自分の事業に疑問を持ち始めました。そんな時、元気だった私の祖母が突然寝たきりになって要介護状態になり、家族も困り果てていました。その後改めて自分の人生を見つめ直した時に、自分の家族がそうだったように“困っている人を助ける仕事がしたい”という原点に立ち返ることができ、元々介護・福祉事業がやりたかったことを再認識して、訪問介護事業を立ち上げたんです。

 

田中 そこで本来、自分がやりたかったことをスタートさせた訳ですね。

地域密着戦略と介護・福祉事業にかける思い

田中 介護・福祉事業を開始したのはいつですか?

 

垣本 会社の創業は2011年ですが、介護・福祉事業に参入したのは7年前です。それまで展開していた他事業は売却して、現在は介護・福祉事業に本腰を据えています。

 

田中 介護・福祉事業の中でも、特に力を入れている分野はありますか?

 

垣本 訪問介護、訪問診療、訪問看護などの在宅分野ですね。弊社では『夢のまちプロジェクト®』を推進しており、介護・福祉・医療サービスがワンストップで受けられるという点が弊社の強みです。一人の利用者様に対して多くの専門家が連携して関わることができます。元々、私は介護・福祉・医療業界は縦割りの業界だと感じていました。介護職や理学療法士、医師、看護師、・・・など、それぞれ異なる職能や考え方を持つ人たちが連携する時にどれだけのコミュニケーションコストが掛かるかという課題を、ワンストップサービスにすることで解決し、かつスピーディーに対応できるので、利用者様に対してきめ細やかなサービスが提供できるんです。

在宅から施設入所まで、0才の障がい児から高齢者までを対象に幅広い業態があって、更にそこに医療サービスもあるというように、全て弊社のサービスになっている点が一番の差別化であり、利用者様にとって最良なサービスを提供できると考えます。介護・福祉・医療という業界の区切りも取り払って、困っている人を助けることに重点を置き、地域の包括ケアシステムを実現する。この『夢のまちプロジェクト®』こそが弊社の大きな魅力かと思います。

 

田中 なるほど。弊社も『まちつくミライ®』というスローガンを掲げて、事業者だけでなく地域が一体となって、高齢者・障がい者の在宅生活を支えていくための社会資源を業態としてつくり出すという戦略をとっていますが、そこに通ずるものがあるように感じますね。御社は千葉市を軸に業態を展開していますが、なぜ千葉市を選んだのでしょうか?

 

垣本 私が千葉市出身なので地元を盛り上げていきたいですし、地元で活躍する若者をもっと増やしたいという思いもありますが、千葉市がドミナント戦略をとる上で最適な地域だからというのが大きな理由です。100万人近い人口が住む政令指定都市で、ある程度のマーケットもありますし、都内からの交通の便も良い。現在、千葉市内に50以上の事業所を構えて、500名以上の従業員がいます。

 

田中 徹底した地域密着戦略をとっている訳ですね。千葉市に500名の雇用を創出するというのも凄いです。

 

垣本 そうですね、「千葉」と言ったら自分を思い出してもらえるくらい大きな企業にしていきたいです(笑)。

 

田中 「夢のまちプロジェクト®」というビジョンを掲げて、500名の従業員と地域密着戦略を展開するというのは非常に分かりやすい会社の見せ方だなと思います。

 

垣本 弊社のスローガンが“地域の「困った」を「ありがとう」に変える®”なのですが、ここに私の創業当初からの思いが込められています。元々困っている人を助けたいという気持ちがあって、この業界に飛び込みました。ヒーローが格好良くて憧れの存在であるように、「介護・福祉業界はこんなに素晴らしいんだよ!」「社会貢献や課題解決ができる仕事は楽しいぞ!」と若い世代に思ってもらえるように会社の見せ方を変えることで、この業界の見え方も変わると思います。そして、次の世代の経営者へとバトンを繋いでいかなければならないという気持ちでいます。

 

田中 素敵ですね。最後に垣本社長の目標をお聞かせいただけますか?

 

垣本 日本が弱体化していると感じる中で『日本がもう一度世界をリードする』というのが私の個人的な目標です。その目標を叶えるのが介護・福祉事業だと思っていますし、目標達成に向けて楽しみながらも一生をかけて取り組むつもりで日々励んでいます。

株式会社ドットライン 代表取締役 兼 グループCEO 垣本 祐作
千葉市出身。日本初のボートレーサー試験予備校を設立し、合格者8割以上のシェア達成。マーケティング事業等を経て、2011年(株)ドットライン創業。地元千葉市に地域密着企業として、医療・看護・介護・福祉・保育の分野で事業所を展開。2021年4月より全国介護事業者連盟 千葉県支部支部長・関東支部副支部長に就任。
株式会社3eee 代表取締役 田中 紀雄
2010年(株)ヒューマンリンクを設立し、2019年(株)3eeeに会社名を変更。介護・障がい福祉事業を中心に、高齢者や障がい児・者の在宅サービスを日本全国に展開。(一社)日本デイサービス協会 副理事長も務める。