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いくつになっても食べる幸せを! 〜塩分摂取と旨味の相乗効果について
目次
塩分の過剰摂取に注意
厚生労働省が推奨する1日の塩分摂取量は男性8.0g未満、女性7.0g未満とされていますが、実際は男性10.9g、女性9.2gと、男性女性ともに推奨量を上回っているというデータがあります。
高齢になると味覚の機能が徐々に低下し、濃い味付けになりがちですが、塩分の過剰摂取は下記のような様々な病気を引き起こすリスクがあります。ただ単に塩分を抑えるだけでは薄味になってしまい、“食べる楽しさ”を損ないかねません。「低塩分でも美味しい食事」をつくることを心がけましょう。
年齢と塩分摂取量の関係
一般的に、年齢を重ねるごとに塩分摂取量が増える傾向にあります。原因として、味蕾(みらい)の減退と唾液の分泌量の減少の2点があげられます。味蕾とは舌にある細胞のことで、脳に味を伝導する役割をもちます。これが減少したり衰えたりすることで味覚が落ち、つい濃い味を欲してしまうのです。また、唾液の中の酵素には食べ物を分解して味をよくしたり、味蕾の感度を高める働きがあります。加齢にともなう唾液の減少が、これらの働きを鈍くして濃い味を求めがちになるのです。また、塩分摂取量の約67%が調味料から摂取されているといわれており、年齢とともに使用する調味料もしょうゆや味噌が増える傾向にあります。
低塩分でも美味しい食事の秘密は「旨味の相乗効果」!
「高齢者の食事=塩分控えめ=味気ない」というイメージを持つ方もいると思いますが、その考えを覆す、低塩分で栄養たっぷりな美味しい食事の秘密は“だし”にあります。
日本では古来からだしを使って、素材の旨味を引き出す工夫をしてきました。だしを使う事で、たくさんの塩を使わずとも美味しい料理をつくることができます。一般的に、だしとして使われる昆布・鰹節・椎茸・煮干しには、旨味成分のグルタミン酸・イノシン酸・グアニル酸が含まれています。これらは単独ではなく、それぞれを組み合わせて使うことで『旨味の相乗効果』を生み出します。例えば、お味噌汁は昆布でだしをとった後に、鰹節でさらにだしをとります。そうすると、単独で使った場合と比較して4倍以上旨味が増すという研究結果が出ています。現在では顆粒タイプのだしなど便利な商品も多く販売されていますが、その多くが鰹だしが主流のため、旨味の相乗効果までは生み出せません。是非、ご家庭でもだしを上手に組み合わせて、美味しく健康的な食事を摂りましょう!