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適切な服薬を 〜 ポリファーマシーへの対処 〜

目次

ポリファーマシーと薬物有害事象

「ポリファーマシー」とは「Poly(多くの)」+「Pharmacy(調剤)」の造語で、単に服用する薬剤数が多いことを表すのではなく、必要以上の薬剤を服用している、または不必要な薬剤が処方されていることにより、薬物有害事象のリスク増加や、飲み間違い・残薬の発生などの問題を引き起こす可能性がある状態のことを指します。明確な定義はありませんが、日本では6種類以上の薬剤が併用されている状態を表すことが一般的です。

薬物有害事象とは、薬剤との因果関係がはっきりしないものを含め、薬物を投与された患者に生じたあらゆる症状・疾病・副作用のことです。ふらつきや転倒・骨折、フレイル、QOL(生活の質)の低下、さらには意識障がいや低血糖、肝機能障がいなど重篤なものも少なくありません。グラフが示す通り、投与薬剤数が6種類を超えると有害事象が起こる可能性が急激に上がる事も指摘されています。しかし、単純に服用する薬を減らせば良いかというと、そう簡単にも行きません。一度に多数の薬を減らすことは、疾患の良好なコントロールを乱し、過少医療につながる恐れもあるため、有害事象の発症や薬の効き目などに配慮しながら、服薬治療を検討し見直すことが必要になります。

複数医療機関への受診と処方カスケード

複数の疾患をそれぞれ別の医療機関に分けて診てもらうことによってポリファーマシーが起きやすくなります。複数の医療機関で薬を処方されている高齢者が薬物有害事象に伴う体調不良を発症した時に、その原因となる薬剤を処方している医療機関でなければ有害事象と気づかず、新たな疾患や症状と勘違いされる可能性があります。

このように有害事象を薬剤で治療しようとして、さらに別の有害事象を招き、かえって病状を悪化させる状態を「処方カスケード」といい、最終的に入院を必要とするような重篤な病状になる可能性もあります。新しい薬剤を服用する場合には、その薬剤の処方が処方カスケードとなっていないか注意しなければなりません。

お薬手帳を活用して、適切な服薬を!

ポリファーマシーの解決策として有効なのが、お薬手帳の活用です。実際にお薬手帳を見て、医師や薬剤師が患者さんのポリファーマシーに気づくきっかけになったという統計も出ています。お薬手帳には、手帳の所有者に関する基本情報、アレルギー、副作用の有無、過去の病歴、かかりつけ医・薬局、服用薬に関する情報などを記載します。

お薬手帳は処方せんをもらったら、保険薬局でつくってもらうことができます。また、最近ではスマートフォンで使用できるお薬手帳の機能を持ったアプリも配信されています。医療機関を受診する際や薬局に行く際には、お薬手帳を忘れずに携帯しましょう。病院や薬局ごとに手帳を分けずに1冊にまとめておくと、他の医療機関で処方された医薬品を確認でき、薬の併用による薬物有害事象の発生を未然に防ぐことができます。お薬手帳を上手に活用して、適切な服薬を目指しましょう!